うよきょくせつ

「青血のハグルマ」が深くて面白い!全巻読んだ感想&ネタバレ【漫画】


「青血のハグルマ」という漫画を全巻読んだので、ネタバレと読んだ感想を紹介します。

正直、もっと評価されてもいい漫画だと思います!

ネタバレすごく含みますので注意。

青血のハグルマのあらすじ ネタバレめっちゃ含む

「青血」と書いて「せいけつ」と読みます。
また、「ハグルマ」は「歯車」ではありません。

1巻のあらすじはこんな感じ。全6巻です。

少年vs巨大兵器。青血ファンタジー戦記!

“ハグルマ"と呼ばれる巨大メカを作ることのできる唯一の人間・コドは、青月国の王子。彼は、「非族」と呼ばれる異種族との戦で疲弊する民のため、復興のため、こもりきりでハグルマを作っていた。 だがある日、ハグルマが実は「非族殺し」に使われていることを知ってしまう。そして「非族」とは、血の色が違うだけで実は「人間」だということも。 コドvs自ら作ったハグルマ……悲しき戦が始まる!!

●本作のKEY『血の色』を部分カラーページにて完全再現!!業界初の表現方法!?

この世界では、青い血の人間と赤い血の人間が対立しています。
主人公コドは青い血の国(青月国)の第3王子。

コドはハグルマと呼ばれる巨大メカを作ることができる天才です。
しかし、ハグルマが平和的に利用されていると思っていたコドは、ある夜、衝撃の事実を知ってしまいます。

自分の国が非族と呼ばれる者たちと戦っていることは知っていたコドですが、実は非族は、コドと何も変わらない人間だったのです。
自分が作りあげたハグルマにより、非族がボロ雑巾のように殺される姿を目撃してしまいました。

この夜に、コドの運命は悲しい戦いへと舵を切るのでした…

簡単に言うと、「コドvsハグルマ」という図式になるのですが、実際は「コドvs世界の固定概念」です。

ただのバトル漫画というわけではなく、世界でたった1人、この世界の固定概念を本気で変えようと、命を懸けて戦う漫画です。

コドはこの世界で良い意味で唯一の異端者

コドは青月国の城で、小さい時からずっとハグルマを作り上げることに夢中で、引きこもって育ちました。
人と関わることもあまりなく、城の外に出ることもありません。

そんな環境が、コドをこの世界で唯一の異端者にしたのだと思います。

この漫画の根幹にあるものは、差別です。
しかも、無意識の中に刷り込まれているレベルのもの。

いつから戦いが始まったのかは不明ですが、青い血の人間と赤い血の人間はずっと戦い続けてきました。
お互いがいがみ合うのが普通の状態です。

それぞれが仲間のために、戦っています。
青い血の人間が赤い血の人間を殺すことは当たり前で当然のことで、その逆も同様です。

そんな世界で、限られた人間としか接しず、小さな世界の中で育ったコドは、その固定概念がありません。
この世界でコドだけが、その固定概念を持たないのです。

だから、他の人間にはコドが異端者に映ります。
コドも他の人間がなぜそんなことをするのか理解できず、当然のように戦いを止めようとします。

でも、この世界でコドだけが平和主義者?なので、誰も戦いをやめてくれません。
むしろ、「俺たちが勝って、占領することで戦いがなくなり、平和になるんだ!」という考えの人間しかいません(青い血と赤い血の両方)。

コドの置かれた状況がどれだけ辛いか、どれだけコドの未来が茨の道なのか。
単純に敵と戦うという話ではなくて、もっと難しくて複雑です。

コドが本当にすごい

読んでいて思ったのが、コドがすごい、です。

もう諦めていいんだよって言いたくなる状況で、心が折れて、死にかけるんですけど、それでもこの世界を変えようと、文字通り身を削るような形で頑張るんですよ。
純粋で優しいが故に、そんな選択をしてしまうんでしょうね。
諦められないっていう感情がすごく伝わってきます。

諦めても誰も責めないのに、周りに流されてしまってもいいのに、それでもコドは茨の道を進むんです。

この世界から戦争を無くしたい」って。

我々の世界にこんな人います?本気で世界から戦争を無くすために全身全霊をかけて戦う人って。

血の表現方法がかなり珍しい

あらすじで、業界初の表現方法とも書かれていますが、血の表現がかなり珍しいです。

この漫画は青い血か赤い血かと、血の色がだいぶ重要なので、血がカラーになっているんです。
そのほかは白黒の普通のページなんですが。

しかも、血があるページ全体がカラーになっているわけじゃなくて、血だけがカラーなんです。
こんなの初めて見ました。

それだけにインパクト大です。
さらに、大事な局面で、血が何色かっていう大事なポイントが出てくるので、カラーでやる所が上手いなーって思います。

九青の暴走がすごい

青月国でコド以外でハグルマを作れる人物、九青。

しかし、実は九青は青い血ではなく、紫の血。

コドがいなくなった後の青月国のハグルマ作製に従事していましたが、ある目的のために青月国に反旗を翻します。

九青の境遇を思えば、世界を恨むのはよく分かるんですけど、正直ここまでやるか?っていうくらい暴走しています。
世界中の人間を殺そうと企み、実際に行動に移して、どうしようもない状況に世界を追い込みます。
その状態をどうにかできるかもしれない唯一の希望はコドだけ。

九青はどんだけインシュタインが好きだったんだ。

そして、最後の発想がすごかったです。まさか白化の装置を宇宙に発射してしまうとは…

読んで感じた疑問

青血のハグルマを読んでいて感じた疑問です。

もう一人のお兄さんはどこに行った?

コドは第3王子なので、お兄さんは2人いるはず。
お兄さんが1人は登場しましたが、もう1人のお兄さんは登場せず。
チョイ役で登場して見逃した可能性もありますが…

せっかく第3王子という肩書なんだから、もう1人のお兄さんを入れたエピソード欲しかったです。

紫の血は青と赤の混血?

紫の血の人間は青い血と赤い血の混血なんでしょうか。

ただ、ずっと昔は青い血の人間と赤い血の人間は共存していたと書かれていました。
紫の血が混血だとすると、もっと混血の人間がいてもおかしくないんですよね。

でも作中では、2人しか紫の血の人間はいませんでした。

混血だとしたら少なすぎるかなーと思います。

まとめ

この漫画、本当に読んでほしいです。

ただのバトル漫画、ファンタジーメカ漫画ってわけじゃなくて、差別や戦争に本気で抗った人の話です。
1巻を読むだけで惹きこまれます。

名前を聞いたことがあったので1巻をチラッと見たら、夢中になって最終巻まで一気読みしてしまいました。
この漫画、アタリです。