私はいまから約1年2カ月前に娘を出産しました。
娘を出産する前から精神的にかなり不安定な状態でしたが、出産後にさらに不安定な状態に。
妊娠・出産で精神的にここまで追い詰められるとは当時は考えもしていませんでした。
これから妊娠・出産される方、妊娠された奥さんがいる旦那さんに向けて、私の実体験を紹介したいと思います。
- 妊娠中から精神的に不安定
- 出産直後に恐慌状態
- 毒親育ちの影響がモロに出た
- 入院期間延長&精神科受診
- 入院延長には補助が使えた
- 産後半年経つとだいぶ落ち着いた
- 産後1年経つとすっかり大丈夫に
- 毒親育ちで親になる決断をされた勇気ある方々へ
- これから親になる方へ、産後ウツか悩んでいる方へ
- まとめ
妊娠中から精神的に不安定
なにぶん妊娠・出産が初めてのことだったので、ホルモンの変化にめちゃくちゃ振り回されました。
とくに何もないのに泣けてきたり、子供が生まれてからのことが心配で仕方なかったり、将来のことを悲観的にしか考えられなかったり。
なにより出産が怖かったです。
鼻からスイカが出るレベルより痛いって聞きますし。
腰をチェーンソーでゴリゴリ切られてるみたいだったって言うのも聞いたことがあります。
どんだけ?
そんな痛みに人体が耐えられるんですか??
私は痛みに弱いタイプの人間なので、出産が近づくにつれて、恐怖でもう死にそうになってました(無痛分娩予定でしたが)。
出産直後に恐慌状態
出産直後に、かなり精神的に不安定な状態に陥りました。
なんといいますか、絶望感がすごいというか、自殺する寸前までいきました。
出産から1年以上が経ったいまから振り返ると、なぜそんな状態になったのか、正直自分でもよく分かりません。
私はもともと悲観的なネガティブ人間ですが、産後1年経ったいま、死のうとかは思いません。
おそらくホルモンバランスの影響をもろに受けたのだと思います。
ですが当時は、そんなことを言われてもどうにか治るものではなくて、辛くて苦しい毎日でした。
毎日が辛くてしかたない
慣れない育児、睡眠時間は1日2~3時間、里帰りもなく(実家と縁を切っている&義母はフルタイム勤務だった)誰も助けてくれない状態、旦那は激務で夜中に帰宅&休みは週に1日あるかないか
そんな中、自分1人でなんとか育児をやっていかなければいけない状況でした。
肉体的・精神的に自分がもつのか、ヘタしたら虐待とかでニュースに載ってしまうんじゃないか、常に不安でした。
毒親育ちの影響がモロに出た
何がここまで私を苦しめたのかというと、子供を育てることへの不安がいちばん大きかったです。
私はいわゆる毒親育ちで、まともな環境で育った人間ではありません。
愛情を受けた事がない人間が、はたして子供に愛情を持って接してあげられるのか。
親を参考にできないので、子供への適切な対応というのが分からない。
虐待が怖くて子供を叱れない、または自分基準(親からされた対応が基準になってしまう)で叱ると虐待になってしまうのではないか。
やはり自分が子供を持つことは間違いだったのではないか。
虐待を受けた人間は自分の子供を虐待するようになる、を体現してしまうのではないか。
もう産んだ後なので育てるしかないんですが、どうすればいいのか、どうやっていけばいいのか不安を消すことができず、辛かったです。
こういうことを誰かに話しても、普通の環境で育った人にはまず理解されません。
それがさらに辛かったです。
大丈夫だよ!なんとかなるよ!虐待なんてしそうにないよ!
そうやって安易に慰められても、辛いだけでした。
そんな言葉じゃどうにもならないから虐待というものが存在するんです。
一番怖いのは他でもない、自分です。
私を育てた毒親と同じように、私の中にも悪魔がいる
そしてその悪魔を私はコントロールすることができない
入院期間延長&精神科受診
いっきに精神的に不安定になったのはまだ入院していた頃でしたので、入院期間を延長しました。
このまま退院させるのは母子ともに危険だと判断されてしまいましたのでσ(^_^;)
そこで、念のため、精神科に行って診察を受けてほしいと病院で言われました。
まぁそれくらいなら、ということで、産科の母子サポーターの方に付き添ってもらい、産後初の外出です。
ずっと病室にいたので、やっと外に出られて気持ちよかったのを覚えています。
ずっと部屋にこもっていると、精神的に病んできますしね。
精神科は初めて行きましたが、精神科医はすごく疲れていそうなおじさんでした…
いや、むしろあなたが休んだ方がいいんじゃない?って思ってしまいましたが。
話は、どこ出身なのか、旦那とはどこで出会ったのかから始まって、気分が急に落ち込み始めたのはいつからか、など聞かれました。
出身地とか関係あるんでしょうか??
旦那との出会いも話す必要あるんですかね??
なんでこんなこと聞かれるんだろうなと思うことも多かったので、ちょっと不信感もありました。この病院には二度と行かないです。
私が毒親育ちで非虐待経験があるということは言いませんでした。
初対面のおじさんに、自分の過去を詳しく説明することなんて私には到底できません。
急に気分が落ち込むのはどんな時なのかや、そういう時は何を考えるのか、何が不安なのか、そういうことぐらいだけ話しました。
私との話が終わったあと、付き添いの方と精神科医が話し合っていました。
私は退室していたので内容は分かりませんが、産後うつなのかについてでしょうね。
その後、産科に再び戻りました。
付き添いの方から産科医に内容が伝えられ、産後うつではないようだと私に伝えられました。
期間が短いことなども考慮すると、産後うつと診断するには早すぎる、とのことでした。
産後は、急激な気分の落ち込みというのはホルモンの関係でよく見られることなので、私の場合は、それがより顕著に現れているのではないか、という話でした。
話を聞いても、へー、くらいしか思いませんでした。
原因が分かっても、対処法なんてないので。
ホルモンの影響で、と言い始めると、対処法は耐えるしかないんですよね。
妊娠中も、ホルモンの影響で辛くても、耐えるしかなかったですし。
入院延長には補助が使えた
産科で入院延長することになりましたが、この時は補助が使えました。
私が住んでいる県では、産後サポート事業として、産後3ヶ月以内なら、格安で合計7日ほどまでなら産婦人科や助産院に宿泊できるというものがあります。
補助金なしで泊まる(食事つき)と、1日でけっこうな金額になるのですが、数千円程度で泊まれました。
その間、看護師さんに赤ちゃんを見てもらって、ママはその時間ゆっくり寝れますし、沐浴もやってもらえるし、栄養満点のご飯も勝手に運ばれてくるので、至れり尽くせりのとても良い事業だと思います。
手続きするために用紙に必要事項を書く必要がありましたが、これは病院が用意してくれました。
そして入院延長する意思があるのか確認のために、県の方から私に電話が1度ありました。
とくに難しい話はなくて、「体調は大丈夫ですか?」「入院延長するということでいいですか?」「大変ですよね、ゆっくり休んでください」ぐらいで終わりました。
すごく優しい感じで、おそらく年齢的に子供がいるので私に優しくしてくれたのかなと思いました。
入院延長する手続きは簡単にすみました。
補助が1週間程度しかないので、それをすべて使い切る前に退院することにしました。
少し状態が落ち着いてきたのと、退院後でもヤバくなったら気軽に産科を利用して宿泊できるようにするためです。
退院後も、精神的に不安定な状態は続きました。
どうすることもできず、さらに寝不足と疲労で、旦那にはずいぶん当たり散らしたと思います。
産後半年経つとだいぶ落ち着いた
産後半年が経つと、だいぶ落ち着いてきました。
育児が少し落ち着いて、寝不足も多少改善されたというのも一因だと思います。
この頃は、もう嫌だ死にたいと思ったり思わなかったり、波のように行ったり来たりしていましたね。
それ以降はさらに、時間が経つとともに、マシになっていきました。
育児が辛くて辛くて死にたいと思うこともほとんどなくなりましたし。
産後1年経つとすっかり大丈夫に
産後1年が経過し、娘が1歳を過ぎたころには育児がだいぶ楽になってきたというのもあり、すっかり精神的には安定しました。
妊娠期間も含めて、出産前後を振り返ってみると、今から思えば肉体的・精神的に地獄のような生活でした。
よく母子ともども健康で生きてたなと思います。
もう一度やれと言われたら絶望して死ぬ自信があります。
毒親育ちで親になる決断をされた勇気ある方々へ
毒親育ちだと、親になる決断というのは、普通の人よりも重いものだと思います。
ちゃんと育てられるのか
虐待してしまうのではないか
愛情を持って接してあげられるのか
毒親育ちだと、なかなか周囲に助けを求められないという人も多いですし、家族や行政のサポートを得られないと肉体的・精神的にかなりハードな育児生活になります。
不安に感じている方も多いことでしょう。
ネットで調べてみると、毒親育ちで子供を産み、毒親のようになりたくないと思いながらも、毒親のように子どもに接してしまい、子供と離されて生活するようになった、という記事が出てきます。
私たちがいちばん恐れている事です。
私もこれがいちばん怖かったです。
そこで色々と調べてみたので、参考にしてみてください。
虐待された人は親になると虐待するようになる、に根拠はない
虐待されたら虐待するようになる、とよく聞きますよね。
私は直接言われたことがあります。
ですが、
虐待された子は親になると虐待するようになる、に根拠はないようなんです。
虐待する保護者の中に、非虐待経験をもつ確率が高い、というのがもともとの調査結果です。
http://file:///C:/Users/owner/Downloads/humansciences2_09kambara%20(1).pdf
負の連鎖が続いていくかもしれない、自分も虐待するかもしれないと不安になってしまいますが、非虐待経験があるからといって、自分の子供を虐待するようになるというわけではない、ということをここではっきりさせておきたいと思います。
虐待するかもしれない、親と同じようにはなりたくないと悩んでいるなら、むしろ虐待しない親になる人の方が多いんです。
おやこの医学|コラム|虐待をする親は自分が子どもの頃虐待されていた、というのは本当か?
こちらのサイトでは、虐待された人が子供を虐待するにいたった割合を調べたところ約3割、そして残りの7割は非虐待経験があっても負の連鎖を食い止めた人たちだったというデータを書かれています。
より詳細なデータを知りたい方はこちらの論文をご覧ください。
https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20180704153915.pdf?id=ART0008938483
たしかに、非虐待経験がない人が子供を虐待する割合よりは高いかもしれませんが、だからといって虐待されたら虐待するようになる、とは到底言えません。
誰の問題なのか冷静に線引きする
アドラー心理学に、「課題の分離」という考え方があります。
誰の課題なのか?を常に考える方法です。
最近では育児でも取り入れられていて、たとえば
小さい子供を連れて出かけたいが、準備に手間取りイライラしてしまった
という場合。
誰の課題でしょうか?
親:準備を終えてさっさと出発したい
子供:出発が遅かろうが早かろうが関係ない
親の課題ですよね。
ここでは親の「早く出発したい」という気持ちがあるだけで、それで子供に対してイライラしてしまうのは、すこし理不尽ではありませんか?
小さい子供にとって、早く出ようが遅く出ようが気にすることではありません。
ここまで詳しく書くと、この怒りは理不尽だったということが分かりますが、イライラしている最中はそんなこと考えませんし、「なんでもっと早くできないのかな」ぐらいしか考えませんよね。
こういう場合にアドラー心理学を取り入れることで、育児でイライラしなくなるようになります。
私もこの考え方を取り入れています。
虐待された経験がある人の育児では自分の過去を思い出してしまったり、自分と比べてしまって子供がうらやましくなったりしてしまうことがどうしてもあります。
そういう場合は、自分の感情に大きく振り回されてしまい、誰かを気遣う余裕がなくなります。
記憶がよみがえってイライラしたり、涙が出たり。
そういう時に子供がぐずったり、泣いたりするとカッと感情的になってしまうことがあります。
そういう時に、娘に向かって怒鳴ってしまったりすることが過去には何回もありました。
そこで、カッとなってしまった時に、「これは誰の問題だ?」と考えるように、意識を変えていきました。
まあぜんぶ私の問題です。
子どもには何の関係もありません。
自分の過去と、現在の育児には何の関係もないんです。
これらは分けて考えるべき問題です。
子どもに対してどれだけ理不尽な態度を取っていたのか、猛烈に反省しました。
もし仮に、カッとなっても冷静になれず、感情的に当り散らしてしまったとしても、あとから冷静になって振り返ってみることが大切だと思います。
子どもの問題だと思うところ、注意するべきところは注意するようになりますし、カッとなってもそこで一度立ち止まって「誰の問題だ?」と考えられるようになっていきます。
私がそうでした。
私のような境遇の方にはぜひ試してほしい考え方です。
ママ友の育児話を聞く
私は母子サポートセンターや、子育て広場、子育てサロンに娘を連れて行くようになって、ママさんたちと話す機会が増えたのですが、ママ友の育児話を聞くことはとても参考になります。
私たち毒親育ちは些細な事も、加減が分かりません。
お手本となるものが何もない状態なので、どこまでがOKなのか、どこからがダメなのか、明確に自分で線引きすることは非常に難しいです。
私はママ友から話を聞くようになってから、肩の力を少し抜いて育児ができるようになりました。
まあだいたい普通の家庭で育ったママさんばかりなので、
なるほどここまではOKなんだな、
ここまでいくとNGなんだな
ということが、それぞれのケースの場合で詳しくわかります。
こういう場合はこういう対処をすればいい
こういう場合は他の人を頼ってもいい
そういうことが少しずつ分かってきます。
自分で線引きするより、他のご家庭を参考にする方が分かりやすくて、線引きしやすいです。
自助グループという手もある
私が住んでいるところは田舎なので残念ながら自助グループというのはありませんが、
自助グループがあるところなら参加してみるのも一つの手だと思います。
同じような境遇のママさんなら、自分の悩みに共感してくれます。
他の普通の人には分かってもらえないようなことも、理解してくれます。
虐待経験者の育児の困難さを分かり合えます。
自分の気持ちを分かってくれる人が少しでもいれば、それだけでこれからもがんばっていこうと思えるものです。
精神科や心療内科に行って相談するのはハードルが高いと感じる方も、自分と同じ境遇の人には話しやすいと思います。
これから親になる方へ、産後ウツか悩んでいる方へ
私が自分の体験を記事にしたのは、自分がこんな風になるなんて少しも考えていなかったからです。
出産直後は本当に辛くて、常に綱渡り状態でした。
少しでもなにか刺激があれば、落ちて死んでしまうような。
でも、毎日をなんとか死なないように、娘も死なないように、それだけを考えて生きていると、そのうち楽になります。
自分が悪いんじゃないんです。
ホルモンバランスの影響をもろに受けているだけなんです。
だから時間が経つとともに、確実に症状は改善します。
苦しんでいるママさんにはもちろんのこと、そんなママの状況がよくわからないパパさんにも、こういうことが起こり得るんだと頭の片隅に入れておくと対応が違ってくるのかなと思います。
まとめ
長々と書きましたが、ホルモンバランスの関係と毒親育ちの影響で産後は死にそうになったけど、時間がたつにつれて安定していったよという私の体験談でした。
毒親育ちの方はアドラー心理学やこの記事で述べたような方法を取り入れてみてください。
時には自分と向き合うことも大切だということですね。